味噌作りの時期 - いつ作る?
『今』でもよいのですが、『元気があれば味噌作りもできる』ということで、味噌作りは一年中いつでもできます。しかし、寒い時期の方が空気中の雑菌が少ないと言われているのと、暑い時期は汗もかくので、最も適した時期はと言われれば涼しい時か寒い時かと思います。肌寒くなってきた秋から冬、ちょっと暖かくなってきた春が最適と言えるでしょう。
味噌作りの材料・レシピ
味噌作り初心者/入門者ならば、以下の配合で少量から始めるのはいかがでしょう?(他の味噌作りwebサイトも参考にしてください)
- 生大豆(水を吸う前の固い大豆) ・・・ 500g
- 糀(こうじ) ・・・ 500g(乾燥)
- 塩 ・・・ 約250g
これで約2kgの味噌ができあがります。この配合ならば覚え易いし、多くの家庭で既に利用されている6.0リットル圧力鍋で一度で煮れるのと、混ぜる作業は潰すのに使う厚手ビニール内や27cmボールでも一度でできます。
こうじ(麹/糀)はスーパーの惣菜コーナーやインターネットで、保管容器は1.8L(1号)くらいの味噌用タッパーがホームセンターや100円ショップで売られているし、潰しと混合に使った厚手のビニール袋に入れたまま発酵させるのもアリでしょう。
味噌作りの用具
- 圧力鍋(又は鍋&落とし蓋)
- 大豆を煮るのに使用。60Lならば、500gの大豆を一度で煮れる。初めて扱う場合は、大豆を煮る前に水を入れて蓋をして錘(おもり)を乗せてテスト使用してそのシステム理解をオススメ。機関車のようにシュッシュポッポと蒸気を発する様子はなかなか面白いです。
- 厚手のビニール袋
- 大豆を潰す/塩切り麹と混ぜる/そのまま口を縛って保管して発酵熟成させるの三役に使用。筆者はホームセンターでみつけた 厚さ0.1mm×横40cm×縦60cmの『超特厚地 重量パック』なるポリ袋を使用。上記配合での味噌作りで、潰し・混合・保管にちょうど良さそうです。
- 軍手
- ビニール袋に入れた大豆を潰すのに使用。
- 穴あきお玉
- 煮た大豆を移す際に使用。
長所 | 短所 | |
---|---|---|
ビニール袋 | 最も手軽で身近で安い。 | 味噌作りに使えそうな丈夫で食品保存向きのものがなかなかない。ネズミにかじられる事を防げない。 |
タッパー | 軽くてフタで密閉できる。 | 過去に環境ホルモンの可能性が指摘。 |
甕(カメ) | 歴史があり、メーカーによる諸物質の溶け出し等が否定。 | 重い。値が高い。国産高品質の甕製造メーカーの「久松」が事業終了。安い中国産は細かい割れ目から液が染み出てくる。 |
樽 | 甕に比べたら軽く、材木の中に味噌の菌が住み着くので、一度良い味噌ができると長く良い味噌が作れる可能性が高い。 | 甕と同じく、現在では国産において値が高い。水分を吸うのは良いが、そこにカビが盛大に生えてしまう。 |
ホーロー | 軽くて丈夫。 | 金属仕様なので、塩を多量に使う味噌作りにおいてはサビと溶け出しが心配。 |
手作り味噌の作り方
1.大豆を水に浸けてもどす
生の固い大豆を一晩水に漬けてもどします。大豆の中心部の吸水度で煮た後の良否が分かれるので、単純作業ながら重要です。
- 手の平で大豆同士を擦り合わせるようにして大豆を洗う。
- 大豆は水を吸うと膨れるので、浸けてる間に大豆が頭を出さないよう、たっぷり充分な水に浸ける。
- 大豆が充分に水を吸うように、16時間はかける。
2.水に戻した大豆を煮る
水を吸って膨れた大豆を圧力鍋に入れ、火にかけて煮ます。まずは一度沸騰させて出てきた泡を取り除き、綺麗になったところで蓋をし、吹き出し口に重石を乗せて圧力を掛けます。
- 目標は芯が無く、食べてみてポリポリ感が無くなる状態。親指と小指で挟んでペースト状に簡単に潰れればOK。
- 煮る時間は、手鍋だと数時間、圧力鍋なら加圧後20分くらい。
- 鍋使用の場合は落し蓋をすると必要最小限の火力で煮ることができる。
- 煮ている間に麹と塩を混ぜておく(塩切り麹という)。
※圧力鍋を使う場合、鍋内側に『豆上限』なる刻み線があるのでそれ以上にしないこと。豆類は煮ている間に皮が剥けて圧力鍋の吹き出し口を内側から塞ぐと危険と思われます。
3.やわらかくなった大豆を潰す
煮えたら穴開きお玉で豆をすくいとって濾し、潰します。
- 厚手のビニール袋に入れて、手袋をした手の平で潰すのが最も手軽で簡単で確実です。
- 温かい内に行うのが柔らかくてやり易いです。
- 煮汁は仕込み味噌の固さ調整に使うので、蓋をして取っておく。
- 多量に処理する場合はミンチ機を利用すると楽で豆を残さず確実に潰せる。
4.潰した大豆と麹と塩混ぜる
ムラが出来ないように均一に混ぜます。こうじを混ぜる際には、大豆の温度を60度以下に下げてから混ぜること(重要)。
- 潰しているうちに大豆の温度は下がるが、熱い場合は、『ずっと触っていられる程度』に冷ましてから塩を混ぜた麹と混ぜ合わせます。
5.数ヶ月間発酵させる
そのまま袋の口を折って曲げて縛り、密封状態にして仕込みは出来上がり。潰している間に味噌内部の空気は抜けるし、あとは形を整え、そのまま数ヶ月間発酵させます。発酵させるといっても放置しておくだけです。
- 空気が入った部分にはカビが生えるので、できるだけ気泡が残らないようにする。
- 仕込み日を蓋に書いておくと、どれくらい経過したかがわかりやすい。
- ※タッパーで発酵熟成させる場合は、仕込んだ味噌表面にピッタリとラップを貼り、その上に35度焼酎を染み込ませたキッチンペーパーを乗せた小皿を乗せておくと気化した焼酎によって内部が殺菌される事が出来たいできそうです。翌日に蓋を開けてみるとけっこう強烈です。
6.出来上がり
食べ頃の判断は好みの頃合です。『若味噌』『中味噌』『熟味噌』といった言葉もあり、「そろそろ」といった時から食べ始めて良いでしょう。食べ始めが遅いと最後の方が“熟し過ぎ”になる事にもなります。味噌は発酵期間が短いと大豆の色に近く、長いほど赤黒くなっていきます。
- 盛夏を越した味噌は良く発酵していて美味しいと言われている。
保管と発酵
仕込が終わったら後は発酵させるだけです。当サイトでは厚手のビニール袋の中に仕込んだので、そのまま毎日、中の仕込み味噌の変化をチラッとでもみていると気が付く事があるでしょう。特に、暖かくなってきた桜の季節くらいから水分が出てきたり、仕込み味噌の上部が白くなってくる現象がみられるでしょう。この白いのは酵母の塊だそうで、酵母の増殖の結果であって順調に発酵が進んでいる証と言えそうです。
冷涼保管と冷涼発酵のオススメ
出来た味噌は二つに分けて、一つは常温で、もう一つは冷蔵庫の奥に入れて保管して比較する体験をオススメ。夏の最盛期を常温環境で過ごした味噌と、常に冷ややかな環境下で熟成した味噌との違いが体験できるでしょう。冷凍庫で凍らせた場合はほとんど変化しないと思われます。冷涼環境で保管され発酵した味噌はすぐに赤くならずに大豆の色に近い黄色といった感じで発酵の浅さを感じながらもとても美味しい味噌に仕上がります。
天地返し?
味噌は発酵が進むほどにガスを発生します。この時、水分が多いとガスが固形物を浮かせるので、固形物が上に、水分が下にと分離することがあります。このままだと均一な発酵にならないので、これをかき混ぜる為にするのが天地返しです。この作業を行う時は味噌自身がアルコールを生成し、自身の力で雑菌を抑えるのと、密閉型の袋や容器だと膨張し破裂するので、甕(かめ)などの容器に移す場合はこの時期が適しているでしょう。
ネズミに注意!
ビニール袋仕込み故に、ネズミに齧られて穴を開けられる事があるので、物置きに保管するより、台所のどこか目につくとこへの保管をオススメです。
自家製味噌の食べ方・使い方
販売用の市販の味噌は多くの場合、発酵を止める為に殺菌して店頭に並べられます。味噌の中の菌が生きていると発酵時に発生するガスによってパッケージが膨れたり、破裂したり、積めないなど運搬や棚並べに都合が悪くなるからです。その点、自家製味噌は菌が生きている状態。よって、市販の味噌と使い分けするなら、その長所を上手く生かす食べ方/使い方が上手いでしょう。では、どうしたらいいかというと、熱を加えない使い方ではないでしょうか。
味噌汁に使うのはもちろんよいのですが、煮立たせないのは香りを飛ばさない為であり、それでも味噌の菌の多くが死滅すると考えます。となると、菌を生きたまま摂取するには、新鮮な野菜につけて食べるモロキューや、味噌田楽などの付けて食べる方法が適していると思われます。
味噌汁の作り方
- 味噌汁のお椀×人数分(杯数分)のお湯を沸かす。
- 出汁をとり、具を煮る。
- 再沸騰したら火を止め、味噌を溶く。
- 出来上がり。
味噌汁の具
豆腐/あぶら揚げ/ネギ等の野菜類/なめこ等のきのこ類/わかめ等の海藻類/あさりやシジミ等の貝類/もやし/肉類/魚類
注意
味噌を溶き入れる場合は、沸騰直後に火を止めるか弱火にして行うと香り飛びを防げる。